大盛御飯のひとりごと

二次創作やらゲームや本の感想とコラムの収納庫

カテゴリ「zzz」に属する投稿6件]

#ぜろうぇぶ展示 #novel
超GROUND ZERO 2026冬発行予定「タイトル未定」
caption
来年1月に発行予定の悠柳小説の進捗になります。3157字。
R18小説になる予定ですが、公開範囲は該当部分がないため全年齢として公開しています。
内容の変更はないですが、描写などを今後いじる可能性があるので、新刊サンプルではなくあくまで進捗だということをご了承ください。
───────────────
付き合っている前提の悠柳で、介抱した少女にほっぺにキスされている悠真を見てしまった柳が、ひどく嫉妬して彼に迫る話。

↓こちらから読めます
───────────────
夜の街というのは、どうしたって浮つきがちだ。
ルミナスクエアでさえ、その例外ではない。ホロウの脅威に晒されながらも、ネオンは煌々と灯り、人々は酒を酌み交わし、刹那の平穏に酔いしれている。
この雰囲気が、嫌いというわけではない。ただ、どうにも落ち着かない。残業はしたくないが、定時で帰れたところで、この街の喧騒に正面からぶつかる羽目になる。悠真はネオンを避けるように、雑居ビルの裏手へと足を向けた。薄暗い路地の奥、ほのかに湿った空気の中で、ふらふらと人影が揺れている。もう少し静かに歩ける道だと思ったのだが――どうやら、期待は外れたようだ。壁にもたれかかるように、一人の少女が座り込んでいた。薄手のジャケットの裾は無造作にはだけ、手には空になったチューハイの缶が握られている。前髪の隙間から覗く瞳は焦点が合っておらず、頬は酔いの熱で赤く染まっていた。
酔っぱらいの女の子か……見たところ、未成年だろうか。
職業柄、こういうのを見過ごすわけにはいかない。悠真は少女の前にしゃがみ込み、手をひらひらと振った。
「もしもし、お嬢さん」
とろんとした目が、ゆっくりとこちらに向く。
ああ、完全にできあがってるな――そう思いながら、小さくため息をついた。
「ここは危ないから、表に出ようか。歩ける?」
「う……」
少女がよろよろと立ち上がろうとしたが、足元が覚束ない。そのまま、バランスを崩して倒れかかってきた。
「……おっと、大丈夫?」
反射的に両腕で支える。軽い体がふにゃりと腕の中に収まり、わずかに酒と甘い香水が混じった匂いが鼻をかすめた。
「だいじょ……ぶ……おにいさん、やさしい……」
ふにゃりと笑いながら、彼女はさらに身体を寄せてくる。酔いの熱がじわじわと伝わり、首筋がむずがゆい。
「気をつけ――」
体を支え直そうとしたその瞬間、少女の顔がふいに近づいてきた。瞬く間に、悠真の頬に何か柔らかいものが触れる。認識するのに刹那時間がかかったが、それは唇だった。
「ちょっと、お嬢さん――」
ほんの一瞬、けれどはっきりと、濡れたような感触とともに肌に残るぬるい熱。その小さな唇が押し当てられた瞬間、頭の中にノイズのような衝撃が走った。咄嗟に身を引くも、遅かった。
頬には、“そこに唇があった”感触が、くっきりと残っていた。目の前の少女は、いたずらに成功した猫のように、くすりと笑っている。
――その直後。
「……ずいぶん楽しそうですね、浅羽隊員」
凍りつくような声が、背後から落ちた。慌てて振り向くと、そこにいたのは――月城柳だった。制服のジャケットを肩に掛け、涼しげな表情のまま立っている。けれどその瞳だけが、鋭く、冷えていた。視線は少女にも、自分の顔全体にも向けられていない。ただ一点、頬の“その場所”だけを、射抜くように見つめていた。
「月城さん!?なんでここに!?いや、そうじゃなくて、これはですね……!」
言い訳が喉元で凍りつく。柳は何も言わない。ただ、その沈黙が――言葉よりも重かった。



「あの~、月城さん、そっち……僕の家の方なんですけど?」
悠真は、少し遠慮がちに声をかける。
今夜は定時退社だったので、時間はまだ早い。
鉢合わせた以上、せめて彼女を家の近くまで――もしくは最寄り駅まで――送るつもりだった。
……なのに、柳はまるで迷いもなく、悠真の家の方向へ歩き出していた。

少女の方はというと、すでに対応済みだ。
治安局の職員に連絡して引き渡し、必要な処理はすべて終えた。
柳は少女の様子をひと目見ただけで、必要な情報を正確に見抜き、最短で片づけてしまった。
その手際の良さに助けられて――あの頬への“事故”も、もう水に流してくれたのだと思っていた。

悠真は隣を歩く柳の横顔をちらりと盗み見る。無表情。だが、目元が微かにこわばっていた。そして、歩くテンポがほんのわずかに速い。呼吸も、どこか浅く落ち着かないように思える。
「あの~、月城さん……?」
返事はない。
沈黙のまま歩き続け、気がつけば、もう自宅のドアの前に立っていた。
「浅羽隊員、鍵、開けてください」
「い、いいですけど……」
どこか無機質な声に押されるように、悠真はおそるおそる鍵を差し込んだ。
金属が噛み合う小さな音が鳴る。静寂を裂くように、カチリとロックが外れ、ギィと重たく軋む音とともに、ドアが開いた。
「開けましたけど……。とりあえず、外冷えるんで中に――」
言い切る前に、柳は一歩踏み込むと、勢いよく悠真の背を押した。突然の出来事に、バランスを崩した悠真はそのまま玄関になだれ込むように倒れる。そんな彼に柳は一拍も置かずに覆いかぶさってきた。
「つ、月城さん!?」
思わず、声が上ずる。
柳は返事をしない。無言のままじっと悠真を見つめている。その視線が――まっすぐ、頬を貫いて、どうやら、あの“キスの跡”を、見ているようだった。
「さっきのは不可抗力で……!」
「……わかってますよ」
柳の声は低く、短く、落ち着いているが、その瞳だけがずっと感情に揺れている。やがて、バタン、とドアが音を立てて閉まり、狭い玄関にふたりきりの空間が生まれた。
「月城さ――」
言葉よりも早く、柳の顔が近づいてくる。そして、反応する間もなく、柔らかな唇が、自分の唇に重なった。
「んっ……」
ぎこちなく、押しつけるようなキス。
息を吐くタイミングも合わず、鼻先がぶつかりそうになって、彼女がわずかに後ずさったが、すぐに顔を寄せてきた。
「ちょ、月城さ…んっ!」
柳は制止を聞く気はない。ただ、柔らかい感触が、悠真を何度も襲った。
押し付ける強さが、少しずつ増していき、息を合わせる暇もない。やがて鼻先がぶつかって、柳が小さく後ずさった。
「悠真……」
震える声で名前を呼びながら、またすぐに戻ってくる。
今度は、角度を変えて――もう一度、重ね合わせられる。
ぎこちない。息のリズムも掴めていない。触れ方も、力加減も、どこか荒っぽくて不器用だ。でも、そのすべてが、真っ直ぐで。ただ、感情だけでぶつかってくるような――柳にしては珍しいキスの仕方だった。
「……見苦しい嫉妬だって、わかってます。でも、今だけは……」
柳はそう呟くと、もう一度唇を重ねてきた。先ほどよりも深く、貪るように――感情を隠そうともせず。冷たい指先が頬をなぞり、顎を軽く持ち上げる。動揺する暇も与えず、角度を変えて、キスはさらに深くなった。
「月城さん、落ち着いて……っ」
制止の声は、熱にかき消される。柳の腕が強く背中を抱きしめ、重なるキスは荒く、深く、拙いまま。けれど、どこまでも真剣で――感情だけで突き動かされているような、熱いキスだった。
ふいに悠真の背が、壁に当たって小さく音を立てる。その音ですら、ふたりの密着を止めることはできず、唇の重なり合う水音だけが取り残されていた。
「んんっ……ぁっ、はぁ、はる、ま、さ……っ」
「はぁっ……や、なぎ……」
息継ぎの暇もないまま、柳の唇が悠真のものを何度も吸い上げる。その息遣いは熱を帯び、荒くなり、心拍が早鐘のように耳の奥で響いた。柳は肩を震わせながら、次第に首元のリボンを解いていく。そして、そのままシャツのボタンに手をかける様子を見て、悠真は慌てて言った。
「月城さん、せめて部屋の中で……」
悠真が起き上がろうとすると、柳は手首を拘束するかのように掴み、再び身体ごと覆いかぶさった。
「ちょ、月城さん!?本気です!?!?」
「あなたは、私のことだけを見ていてください」
「いやいやいや、ここだと冷えますって!ベッド……!」
「……嫌です」
きっぱりと拒むその声には、わずかに拗ねた響きが混じっていた。

~続く~

あとがき
まだまだ書きかけで大変申し訳ございません。来年1月発行だしのんびりとりかかっていたら、もう7月で絶句しております……
今回公開しているのは導入部分でして、ラブラブえっちしてるシーンが小説の大半になる予定なので、成人済みのみなさまはお楽しみにお待ちいただければと思います…!!
推しCPのえっちはなんぼあってもいいですからね……
畳む

zzz,悠柳